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【岩幸学園 風紀委員会 議事録】02 [【MH3】怪物狩猟人・備忘録]

 いやぁ〜、まいった!
東京に行って山手線とか乗りましたら、その数日後に風邪をひきまして。
最初は微熱が2日ほど続いて、特にひどい症状もなく安静にしていれば治るかな………と思ったら大間違い。
その発熱2日目の晩にいきなり39度超え。
やべえ!
インフルエンザだったらどうしよう!
次の日、近所のお医者さんで検査しましたら、インフルエンザは陰性。
ただの風邪……にしては非常にキツい発熱が待っていました。
三晩続けて39度超えの高熱でヒィヒィ言ってました。
幸い、咳と痰はほとんどなかったので息苦しくなったりなどはなかったのですが、かなり激しい風邪でした。
今はやっと全治して爽快です。
手洗いとうがいは徹底したいですね。
みなさんもお気をつけ下さい。

 さて、実にどうでもいいモンハン3をパロディにした小説の続きです。
このゲームに出てくるモンスターが不良学生だったら?
いわゆる、不良漫画的な世界とモンハンの世界を折衷したらどーなるんだろう?
などと、くだらない事を考えているうちに勢いで書き出したものです。
読みたい人だけ読んでください。ええ。
好評なら……続く……のか?
 では、後半をどうぞ。




     第一話『火竜高校アベック事件』——後編





「作戦会議をぉ、始めるっ」
 背広姿の男が言い放つ。
数多の戦場を駆け抜けて生き残って来たような、鋭い眼光を放つ右目。
顔の左側には縦に顔を切り裂く一文字。左目はなかった。
隻眼の教師、岩幸学園風紀委員会顧問のジオは2人を前に説明を開始した。
背負っていた携帯型黒板が展開される。
どういう仕組みなのか、シュッ、バチンバチン、ジャキーン!と変形し、たちまち長さ2.5m×幅1mほどの黒板になる。
ジオは手にした白墨(チョーク)でカツカツと音を立て、書き込んでいく。
「標的は《ギルド》指定の区画へ誘い込まれる。私たちに与えられた時間は50分だ。地図を頭に叩き込んでおけ。列臼火王〔れうす・ひおう〕と相棒である嶺阿睦妃〔れいあ・むつき〕は巨大な刺のついたナックルやアンクルを武器とする事で知られている。各自、気をつけろ」
「体操の元インターハイ強化選手……という話は本当なんですね。いわゆる、サマーソルトキックなどの派手な動きをアレンジしたケンカ技を駆使して、あの荒くれの集まりのような火竜高校をわずか1ケ月で支配下にしたと聞きます。最近は改造ジッポーライターと揮発油を悪用した凶悪な行為も目撃されていますね」
 若草色の髪に柔らかなまなざしの少女が黒板を覗き込みつつ呟いた。
「そうだ、生徒ジュナ……いや、狩人ジュナ。よく調べているな。まずはやつらの動きに慣れる事だ。動作には予兆があるものだ。観察して対処すれば、どんなモンスター学生だろうと恐れる事はない」
「あ、あの。質問いいっすか?」
 ボサボサ髪の少年がおそるおそる手を挙げた。
「なんだ、言ってみろ狩人キース」
「は、はいっ。えっと、その。3人でやるんすか? もう一人いるって聞いてましたけど。あと、50分って時間制限はなんでなのかなーって言うか……」
 元は検事だのヤクザだのと噂のあるジオを前にして、口を挟むタイミングを計れずにいたキースの質問はしどろもどろだった。
「狩人メァルの事か。ふむ、ちと扱いの難しいやつなんでな。そのうち現れるだろう。時間制限に関しては、近隣の住民の協力があって実現した事だ。50分の間、狩り場となる区画への“国家権力”の介入は一切ない。安心して不良学生を成敗できるぞ!」
 “国家権力”って……警察とかもっと上の組織の事かなぁ。
やべー、なにこの町の人たち。
岩幸町の背景について色々と嫌な想像が渦巻くキースであったが、ジュナは知ってか知らずかニコニコしながら手にした依頼書をめくっている。
(……ん? そういえば、こいつ。どんな戦い方するんだ?)

     ※     ※     ※

 破帽幤衣(はぼうへいい)の巨漢学生、浦賀金槌〔うらが・きんつち〕は微妙に違和感を憶えた。
今日は岩幸町に不良のカツアゲ対象になる草食系男子生徒が妙に多い。
いや……。
小さいながらも達者な浦賀の目は優秀であった。
(まるでカツアゲされるのを待っているかのような感じでごわす。なにか匂うでごわすよ。むむっ、あれは)
 川縁の商店街の一角。
横道のある薄暗いアーケードで両雄は対峙していた。
燃えるような赤髪に学ランの列臼火王。
対するのは、左右に振り乱された長髪が印象的な、青いブレザーを着崩した不良学生だった。
なにやら高額の財布を持った草食系男子生徒をめぐって言い争いをしているようだった。
「俺様を火竜高校の総番、列臼火王と知ってて言ってんのかコラ。テメェ、なに高だよ?」
 青いブレザーの男はややたじろいだものの、足を踏みしめて言い返す。
「ああっ? おれは水住高校大代表の螺木亜十字〔らぎあ・じゅうじ〕ってんだよ。コイツはな、おれに財布くれるって約束してくれたんだよォ。ひっこめよ、ボケェ」
「ンだと、ゴラァ!」
「アア? ヤンのか!」
 顔面同士刷り付かんばかりににじり寄り、壮絶なにらみ合いがしばし続いたが、軍配は迫力で勝った列臼に上がった。
 水住高校の螺木亜と名乗った青ブレザーの男は、睨み倒されて川縁に追い込まれ、欄干を越えて川に逃げ込んでいた。
「くっ、憶えてろよー!」
 列臼は満足気な顔になると、恐怖に震える草食系男子生徒を連れて繁華街に向かっていった。
「うーむ、あの坊やに義理はないでごわすが、さすがに哀れ。どれ……」
 浦賀が列臼たちの後を追おうとした時だ。
アーケードの一部の通りが一斉に閉店し始め、商用の貨物バンが道を塞いだ。
「むむ?」
 その通りを避けて横の道路を行こうとすれば、さっきまで無かった工事中通行止めの看板。
「むむむ??」
 器用に肩をすくめ、浦賀は哀れな少年を助けるのを諦める事にした。
「ふー、可哀想に。おいどんはカツアゲしてまでお金など欲しくないでごわすよ。そう、おいどんの場合は」
 いきなり、通り掛かりの女子高生たちの前へカエルのようにダイブし、土下座する浦賀。
「もー、腹が減って腹が減って死にそうでごわす〜。何か買って欲しいでごわす〜」
「ぎゃ〜〜〜★ いやいやいやいやいやぁ〜〜〜」
 突然の事に年頃の女子らしからぬ悲鳴を上げる岩幸学園の女生徒たち。
浦賀のアゴをみんなで何度も足蹴にしたあと、きゃーきゃー言いながら逃げていった。
土ぼこりまみれになりながら、むっくりと起き上がる浦賀。
その表情は晴れ晴れとして、瞳はダイヤモンドのように輝いていた。
「なるほどなるほど。岩幸学園高等部のスカートの裏打ちはああなっていたでごわすか。先日は気配を消して背中側の構造をじっくり拝見させていただいたでごわすが……ふむふむ。だいぶデータが揃って来たでごわす♪」
 溶岩高校・裏総番長、浦賀金槌 25歳。
まぎれも無い、変態であった。

     ※     ※     ※

 嶺阿睦妃は凶暴な女であったが、案外、尽くす女だった。
つき合っている列臼火王をとても好いていた。
大好きな列臼のために草食系男子生徒からカツアゲした金でプレゼントを選んでいた。
「……いつかは2人で愛の巣を築いてたくさんの可愛い子どもたちに囲まれるんだv……そして一生一緒でお墓まで一緒なんだvvv」
「いいわね、その夢、お手伝いさせてもらうわ」
 ぎょっとして睦妃はアーケード街の石畳を振り返った。
若草色の髪のおとなしそうな岩幸学園女生徒の姿を認めると、睦妃の顔はみるみる赤くなった。
「もっとも、最後のところだけね!」
 照れ隠しなのか、睦妃はなにやら喚きながら刺付き分銅が先端にきらめくチェーンを振り回し始めた。
思っている事をつい口にだして言ってしまっていた自分を恥じ、逆上したらしい。
「ちょっ、あんたぁからかうんじゃなっあwせdrftgyふじこlp!」
 ジュナは若草色の髪をわずかに揺らして攻撃をかわす。
繰り出されるパンチもキックもすべて目で見てかわしている。
「ふむ……特に危険な動きはないわね」
 帳簿でパンチとキックの風圧をいなしながら、ジュナは冷静に睦妃の動きを分析している。
「なっ、なにをぉこの優等生ヅラが〜。かわいいツラ引き裂いてやんよ!」
 睦妃が元体操選手の華麗な動きで一気に距離を詰め、ジュナの眼前でバク転を咬ます。
それはフェイントで、足の間からの刺分銅が相手の顔面を襲いかかるのだ。
睦妃がスケ番の地位を確立した必勝の技だった。
 自信をもって放った攻撃に余裕の笑みを浮かべる。
だが、バク転からの体勢を立て直す動作中の睦妃に閃光が襲った。
視界が真っ白になり、慌てた睦妃はやたらにチェーンを振り回すしかなかった。
「くぅ、小賢しいね。そんな手が通用するような睦妃様じゃ……」
 チェーンが急に軽くなった。
先端の分銅が地面に落下する音が響き、次いで猛烈な打撃が睦妃を襲う。
「ぐっ! こんなっ、あたしがぁ!」
 視力が回復して愕然とする。
トゲ付き凶器の隠し場所はすべて破かれ、武器はなくなっていた。
(な、なんだこいつ……)
 睦妃は初めて目の前の少女に恐怖心を憶えた。
「ふふ、舐めてもらっては困りますわ。あなたのような人と戦う経験がちょっと多いだけの事ですけどね☆」
 形勢不利とみた睦妃は悪態をついて逃げ出そうとした。
「ち、今度会ったらひどいよ、このへちゃむくれ!」
「あっ、列臼火王さんだ」
「えっ、どこどこどこ? どこなの、ダーリンv」
「えいっ(ぼぐ)」
 容赦のない帳簿の殴打で崩れ落ちる睦妃。
すかさずジュナは睦妃に馬乗りになると肺を一撃し、薬品をしみ込ませたハンカチを睦妃の口にあてがう。
「はい、おーきく息をすってー!」
 睦妃は言われるままに息を吸ってしまった。
消えそうになる意識の中、睦妃は相手が何者なのか思い出したような気がしたが、次の瞬間にはカクンと力が抜けて完全に沈黙した。
「あー。あー。てすてす。こちらジュナです。《彼女》の捕獲に成功しました。救援にいきまーす」
 ジュナは左手の万年筆を丁寧に磨くと、スカートの隠し襞に“納刀”した。
それは武器にもなる、特別な万年筆なのだった。

     ※     ※     ※

 マウントポジションからの猛烈なパンチにひとたまりも無かった。
たくさんの町内のネコに引きずられ、キースは作戦区画の基地に舞い戻ったのだった。
「コイツ弱いくせに重いニャー」
「にゃー、なさけないニャ。あんな見え見えの動きに捉えられるとはニャー」
「立ち回り下手とはこの事ニャ。今後の作戦が思い遣られるニャ」
「体力が減ってる状態で戦い続けるのが自信過剰というものニャりよ、あほニャ」
 口々に言いたい事を言うネコを追っ払って、キースは再び列臼火王を倒すために立ち上がった。
学生服は汚れてボロボロ。
顔は腫れ上がってボコボコである。
勇者とは言いがたい外見であったが、仲間はまだ戦っている。
早く助太刀に行かねば。
「列臼! オレは何度でも蘇るぜ。今度こそ、お前を倒しっ……?!」
 戦場となっているアーケード街脇の駐車場に駆けつけたキースが見たものは、満身創痍で喘ぐジオと、列臼の足下で息も絶え絶えのジュナだった。
「大丈夫か、2人とも!」
 列臼は手にした物を見て肩を震わせ、狂ったように叫び出した。
思わず耳を押さえてうずくまったキースを、蹴りで正気付かせたのは駆け寄って来た教師ジオ。
イヤーウィスパーを常備しているおかげで昼の雑踏の中での昼寝や理事会の小言も寄せ付けない。
「逆効果だった。捕獲した嶺阿睦妃の持ち物を見せて投降するように勧告したのだが……」
 怒り狂った列臼は足下の少女を踏みしだいて吠えた。
「ムカつくぜ、てめえらぁ〜。ぜってぇ生かしちゃ返さねえぞ。死ね!」
「ジュナ!」
 身を挺するキース。
丸太のような豪脚を食らい、回復したはずの体力はすでに風前の灯火であった。
「キース! 無茶しないで、あれくらい避けられるわ!」
 そりゃないぜ、と思うキースであった。
しかしそう言うジュナも列臼の長いリーチに捕らわれてしまった。
首元を捩り上げられてジュナの体は完全に浮いていた。
「ええいっ、こっち向けよ列臼!」
 再ダウンを覚悟して飛びかかろうとした時。
奇妙なポーズで走り寄る姿が視界の隅に見えた。
 岩幸学園の女子制服姿だが、頭には文字の入ったヘルメットを装着している。
重そうな木槌は大きな軌道を描いて列臼の遥か頭上を越え、そこから振り下ろされた。
 鈍い音を立てて木槌は列臼の脳天を直撃した。
ヘルメットから伸びた、長くくすんだ金髪が左右になびく。
強烈な一撃で、さすがの列臼もひるみ、ジュナを取り落としてしまう。
「気にくわぬ。委員会のやり方も気にくわぬが、そなたら不良のノンポリな暴れ方にはもっと虫酸が走るわ。ここにわらわが来たからには、おとなしくお縄についてもらうぞよ、小僧」
 すらりと伸びた手足に優雅な長い金の髪。
大雑把すぎる木槌と、挑発的に突き出た胸がシルエット的に強い印象を見る者に与える。
「おお、来てくれたか。狩人メァル」
 するとこのボイン……ちがった、木槌使いのお姉さんが4人目の!
純朴なキースなど、その見事な胸を見るだけで鼻血ものであった。
 列臼は目眩から立ち直ると、ジュナにしたようにメァルを捕らえようとした。
が、意外に背があったので列臼の手は突き出た胸のボタンを豪快にむしり取り、豊かな乳房の一部がまろびでる。
メァルは一向に動じた表情を見せずに言った。
「なんじゃ、わらわの胸をどうしようと言うのじゃな?」
 怒りで紅潮していた列臼の顔は、今や別の意味で紅潮していた。
「い、いやボクは別にそんな……」
 キースはすでに鼻血を噴出して昏倒していた。
「仕方ない小僧じゃの。ほれ、よいぞ」
 両手を上げて胸をよく見えるように突き出すメァル。
「ちょっ、マジ?!」
「……否、逝ってよいぞ」
 3連撃の叩き付けが決まった。
「……という意味じゃ」
 スタミナを失った列臼は目を回してダウンした。
ジュナとジオが処置にかかる。
 勝負は決した!
岩幸学園風紀委員会の作戦は、狩人たちの活躍で成功したのである。

     ※     ※     ※

 アーケード街の臨時封鎖が解かれる前。
屋根に近い上方の整備用キャットウォークで2人組の影がそれまでの戦いを眺めていた。
一人はいかにも荒くれ者といった風体の学生で、エリマキのようなモミアゲをしていた。
もう一人は青い学ランを着た背の高い痩せぎすの男で、頭髪をトサカのようなリーゼントで固めていた。
「岩幸学園が本気で我々を狩ろうと動き出したようだな。列臼ほどの男が捕まるとは……警戒が必要だな」
 風体に似合わぬ神経質な声でモミアゲの男が言う。
「はん、見たところ寄せ集めの集団だぜ。どおって事はねえ。むしろこれはチャンスじゃねえか?」
「チャンス……だと?」
 リーゼント頭の言葉に首をかしげるモミアゲの男。
「そうよ、チャンスよ。邪魔くせえ周りのやつらがここで狩られていけば、仕事がしやすいとは思わねえかい。そして、今日の岩幸学園の手口を見たオイラたちが易々とこの罠にかかるわけは……ないよな?」
「くくく……なるほど。裏から岩幸学園を利用してライバルを消していくってか。悪くねえ」
 2つの影は夕闇に紛れて消えていった。
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あごじ

お疲れさまです!

体調如何ですか?
健康第一です!ご無理なさらないでくださいね♪

いやぁ、ホントに面白い!
毎週読んでる某週刊誌よりも楽しみにしてますよ!←ほめすぎ(笑

後半が掲載されるまでに会社で何回アクセスしたことか…←仕事しろよ(笑

浦賀さんが変態だったことに爆笑!
期待を裏切らない活躍でした☆

続編物凄く楽しみに待っております!

ではでは…ノシ
by あごじ (2009-10-02 18:31) 

Wyrem

 毎度お疲れさまです!
体調はかなりいいですが、病み上がりの症状がまだちょこっとあったりします。腰痛とか。まだ激しい運動は無理ですなぁ。
 えー、なんかこんなトンデモ小説などに反響を賜り、まことにありがたいことです。
 浦賀さんはほんの雑魚程度の出番という想定だったのが、けっこう良いヤツっぽくなってしまったり、筆が暴走気味だったりして。今後どうなるのかはまったく予想がつかないぜ!
オモロいシーンやナイスアイデアが浮かんだらまたガツンと気軽に読める分量目指して笑えるものを書いてみたいと思います!

by Wyrem (2009-10-03 01:34) 

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